N1分析とは?
N1分析とは、特定の1人の顧客(N=1)を深く掘り下げて、その人がなぜ購入したのか、どんな価値を感じているのかを明らかにする分析方法です。 大人数へのアンケートで平均的な傾向をつかむのではなく、実在する1人へのインタビューで、購入に至った状況、比べた選択肢、決め手、使ってみての評価などを具体的に聞き取ります。そこから、ほかの顧客にも通じる価値や、まだ届いていない顧客に訴える内容のヒントを見つけます。 マーケターの西口一希氏が著書などで広めた考え方です。B2Bでは、受注した案件の担当者や決裁者に話を聞き、受注の決め手(KBF)を探るときに使います。ジョブ理論と組み合わせて使われることもあります。
N1分析に関する記事・資料
N1分析に関連する記事1件・資料1件。
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- 2026.10.04読了7分記事顧客を理解するジョブ理論とN1分析|BtoBの受注の決め手(KBF)を戦略と施策に落とす「うちの強みは?」と経営に聞かれ、顧客の言葉で答えられない責任者へ。ジョブ理論とN1分析で受注の決め手(KBF)を取り出し、営業・技術・経営を巻き込んで、訴求・施策・四半期のマイルストーンに落とす進め方を紹介します。記事を読む
- 2026.10.04PDF資料無料資料市場と競合を分析する顧客インタビューの質問リスト「うちの強みは何か」と経営に聞かれても、受注の決め手を顧客の言葉で答えられない。このテンプレート集は、受注した顧客に1社ずつ深く聞き、顧客が選ぶ基準(KBF)を取り出すためのものです。聞く相手の選び方、検討のきっかけから順に聞く質問リスト3種、記録シート、ジョブの1文、基準と重みの集計表、経営に示す1枚までを、部品メーカーの記入例つきで18ページに収めました。ダウンロードしたその日から使えます。資料を見る
N1分析が必要になる課題
- アンケートやアクセス解析の数字はそろっているが、顧客がなぜ自社を選んだのかを説明できない
- 営業に受注の理由を聞いても「価格」「付き合いが長い」といった表面的な答えしか集まらず、訴える内容や施策に落ちない
- ペルソナを社内の想像で作ったため、実際の顧客とずれている
N1分析の構成要素
N1分析は、話を聞く1人を選ぶ、その1人に深く聞く、聞いた内容からアイデアを取り出す、の3つで成り立ちます。
| 要素 | 内容 | BtoBでの例 |
|---|---|---|
| 対象(N1)の選定 | 顧客全体を購入の状況で分け、どの層の誰に聞くかを決める | 継続して発注している取引先の担当者、比較の末に初めて発注した企業の決裁者 |
| インタビュー | 1対1で、購入までの行動と気持ちを時系列に沿って具体的に聞く | 課題に気づいたきっかけ、比べた会社や手段、社内での説明のしかた、決め手、発注後の評価 |
| アイデアの抽出 | 顧客が感じている便益と、ほかでは得られない独自性を言葉にする | 図面を送った翌日に見積もりが届くので、設計の手戻りが減る |
対象を選ぶ前に、顧客全体を次の5つの層に分けて、それぞれの数をつかんでおきます。この分け方は顧客ピラミッドと呼ばれます。
| 層 | 状態 |
|---|---|
| ロイヤル顧客 | 購入(取引)があり、頻度や金額が大きい |
| 一般顧客 | 購入はあるが、頻度や金額が小さい |
| 離反顧客 | 以前は購入していたが、今は購入していない |
| 認知・未購入顧客 | 自社を知っているが、購入したことがない |
| 未認知顧客 | 自社を知らない |
未認知顧客以外の4つの層を、次も自社を選ぶ意向があるかどうかでさらに2つずつに分けたものを、9セグマップと呼びます。BtoBでは、購入の頻度を取引の回数や年間の取引額に置き換えて分けます。
進め方と判定基準
N1分析は、次の手順で進めます。
- 顧客を層に分け、どの層の顧客を増やしたいか、どの層からどの層へ移したいかを決める
- 狙う層の中から、実在する1人を選ぶ。最初は、自社の価値をいちばん感じているロイヤル顧客から聞く
- 1対1でインタビューする。最初に購入した時点までさかのぼり、そのとき何が起きていたかを具体的な出来事で聞く。答えに対して理由を重ねて聞き、本人も言葉にしていなかった理由を探る
- 聞いた内容から、便益と独自性の組み合わせを書き出す
- 書き出したアイデアを、同じ層のほかの顧客や、まだ購入していない層の顧客に示し、通じるかを確かめる。通じたものを施策や訴える内容に使う
聞いた内容をアイデアとして使えるかは、次の2つがそろっているかで判断します。
| 基準 | 確かめること |
|---|---|
| 便益 | 顧客にとっての得が具体的か。時間、費用、手間、失敗のリスクがどれだけ減るかで言えるか |
| 独自性 | 競合の製品や、ほかの手段では同じ得が得られないか |
便益だけでは競合と並ぶ理由にしかならず、独自性だけでは選ぶ理由になりません。両方がそろって、選ばれる理由になります。
分析の結果を判断に使うときは、次の点を押さえます。
- 1人の話をそのまま顧客全体の結論にしない。複数のN1に聞き、定量調査や受注データで確かめる
- BtoBでは購入に複数の人が関わるため、発注の担当者と決裁者を別のN1として聞く。重視する点が異なることが多い
- 顧客の答えを質問者の仮説に誘導しない。「〜が良かったのですか」ではなく「そのとき何をしましたか」と事実から聞く
似た用語との違い
| 用語 | 意味 | N1分析との違い |
|---|---|---|
| ペルソナ | 典型的な顧客像を、一人の人物のように具体的に描いたもの | ペルソナは複数の顧客の特徴をまとめた架空の人物。N1分析は実在する1人を対象にする。N1分析で聞いた内容は、ペルソナを作る材料になる |
| ジョブ理論 | 顧客は、ある状況で片づけたい用事(ジョブ)のために製品を選ぶ、という考え方 | ジョブ理論は購買を捉える考え方で、N1分析は1人に深く聞く分析の方法。N1のインタビューでジョブを聞き出す形で組み合わせて使われる |
| デプスインタビュー | 1対1で時間をかけて話を聞く、定性調査の手法 | デプスインタビューは聞き方の手法を指す。N1分析は、聞く相手の選び方から、アイデアを出して確かめるところまでを含む |
| 定量調査 | 多くの人に同じ質問をして、割合や傾向を数字でつかむ調査 | 定量調査は全体の規模や傾向を測る。N1分析は購入の理由やきっかけを深く探る。N1分析で出したアイデアを、定量調査で確かめる |
関連用語
- 顧客ピラミッド・9セグマップ:N1を選ぶ前に、顧客全体を購入の状況で層に分け、それぞれの数をつかむ方法
- KBF(購買決定要因):顧客が製品を選ぶ決め手。BtoBでは、受注した案件の担当者や決裁者をN1として、受注の決め手を探る
- ジョブ理論:顧客が片づけたい用事に注目する考え方。N1のインタビューで聞く項目を決めるときに使える
- ペルソナ:典型的な顧客像。N1分析で聞いた内容をもとに作ると、実際の顧客とずれにくい
- インサイト:顧客自身も気づいていない、購入を動かしている本音。N1分析で見つけたい対象
- 失注分析:失注した顧客に理由を聞いて分析すること。離反顧客や、比較の末に他社を選んだ顧客をN1にする場合と重なる
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