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N1分析とは?

N1分析とは、特定の1人の顧客(N=1)を深く掘り下げて、その人がなぜ購入したのか、どんな価値を感じているのかを明らかにする分析方法です。 大人数へのアンケートで平均的な傾向をつかむのではなく、実在する1人へのインタビューで、購入に至った状況、比べた選択肢、決め手、使ってみての評価などを具体的に聞き取ります。そこから、ほかの顧客にも通じる価値や、まだ届いていない顧客に訴える内容のヒントを見つけます。 マーケターの西口一希氏が著書などで広めた考え方です。B2Bでは、受注した案件の担当者や決裁者に話を聞き、受注の決め手(KBF)を探るときに使います。ジョブ理論と組み合わせて使われることもあります。

N1分析に関する記事・資料

N1分析に関連する記事1件・資料1件。

形式

N1分析が必要になる課題

  • アンケートやアクセス解析の数字はそろっているが、顧客がなぜ自社を選んだのかを説明できない
  • 営業に受注の理由を聞いても「価格」「付き合いが長い」といった表面的な答えしか集まらず、訴える内容や施策に落ちない
  • ペルソナを社内の想像で作ったため、実際の顧客とずれている

N1分析の構成要素

N1分析は、話を聞く1人を選ぶ、その1人に深く聞く、聞いた内容からアイデアを取り出す、の3つで成り立ちます。

要素内容BtoBでの例
対象(N1)の選定顧客全体を購入の状況で分け、どの層の誰に聞くかを決める継続して発注している取引先の担当者、比較の末に初めて発注した企業の決裁者
インタビュー1対1で、購入までの行動と気持ちを時系列に沿って具体的に聞く課題に気づいたきっかけ、比べた会社や手段、社内での説明のしかた、決め手、発注後の評価
アイデアの抽出顧客が感じている便益と、ほかでは得られない独自性を言葉にする図面を送った翌日に見積もりが届くので、設計の手戻りが減る

対象を選ぶ前に、顧客全体を次の5つの層に分けて、それぞれの数をつかんでおきます。この分け方は顧客ピラミッドと呼ばれます。

層状態
ロイヤル顧客購入(取引)があり、頻度や金額が大きい
一般顧客購入はあるが、頻度や金額が小さい
離反顧客以前は購入していたが、今は購入していない
認知・未購入顧客自社を知っているが、購入したことがない
未認知顧客自社を知らない

未認知顧客以外の4つの層を、次も自社を選ぶ意向があるかどうかでさらに2つずつに分けたものを、9セグマップと呼びます。BtoBでは、購入の頻度を取引の回数や年間の取引額に置き換えて分けます。

進め方と判定基準

N1分析は、次の手順で進めます。

  1. 顧客を層に分け、どの層の顧客を増やしたいか、どの層からどの層へ移したいかを決める
  2. 狙う層の中から、実在する1人を選ぶ。最初は、自社の価値をいちばん感じているロイヤル顧客から聞く
  3. 1対1でインタビューする。最初に購入した時点までさかのぼり、そのとき何が起きていたかを具体的な出来事で聞く。答えに対して理由を重ねて聞き、本人も言葉にしていなかった理由を探る
  4. 聞いた内容から、便益と独自性の組み合わせを書き出す
  5. 書き出したアイデアを、同じ層のほかの顧客や、まだ購入していない層の顧客に示し、通じるかを確かめる。通じたものを施策や訴える内容に使う

聞いた内容をアイデアとして使えるかは、次の2つがそろっているかで判断します。

基準確かめること
便益顧客にとっての得が具体的か。時間、費用、手間、失敗のリスクがどれだけ減るかで言えるか
独自性競合の製品や、ほかの手段では同じ得が得られないか

便益だけでは競合と並ぶ理由にしかならず、独自性だけでは選ぶ理由になりません。両方がそろって、選ばれる理由になります。

分析の結果を判断に使うときは、次の点を押さえます。

  • 1人の話をそのまま顧客全体の結論にしない。複数のN1に聞き、定量調査や受注データで確かめる
  • BtoBでは購入に複数の人が関わるため、発注の担当者と決裁者を別のN1として聞く。重視する点が異なることが多い
  • 顧客の答えを質問者の仮説に誘導しない。「〜が良かったのですか」ではなく「そのとき何をしましたか」と事実から聞く

似た用語との違い

用語意味N1分析との違い
ペルソナ典型的な顧客像を、一人の人物のように具体的に描いたものペルソナは複数の顧客の特徴をまとめた架空の人物。N1分析は実在する1人を対象にする。N1分析で聞いた内容は、ペルソナを作る材料になる
ジョブ理論顧客は、ある状況で片づけたい用事(ジョブ)のために製品を選ぶ、という考え方ジョブ理論は購買を捉える考え方で、N1分析は1人に深く聞く分析の方法。N1のインタビューでジョブを聞き出す形で組み合わせて使われる
デプスインタビュー1対1で時間をかけて話を聞く、定性調査の手法デプスインタビューは聞き方の手法を指す。N1分析は、聞く相手の選び方から、アイデアを出して確かめるところまでを含む
定量調査多くの人に同じ質問をして、割合や傾向を数字でつかむ調査定量調査は全体の規模や傾向を測る。N1分析は購入の理由やきっかけを深く探る。N1分析で出したアイデアを、定量調査で確かめる

関連用語

  • 顧客ピラミッド・9セグマップ:N1を選ぶ前に、顧客全体を購入の状況で層に分け、それぞれの数をつかむ方法
  • KBF(購買決定要因):顧客が製品を選ぶ決め手。BtoBでは、受注した案件の担当者や決裁者をN1として、受注の決め手を探る
  • ジョブ理論:顧客が片づけたい用事に注目する考え方。N1のインタビューで聞く項目を決めるときに使える
  • ペルソナ:典型的な顧客像。N1分析で聞いた内容をもとに作ると、実際の顧客とずれにくい
  • インサイト:顧客自身も気づいていない、購入を動かしている本音。N1分析で見つけたい対象
  • 失注分析:失注した顧客に理由を聞いて分析すること。離反顧客や、比較の末に他社を選んだ顧客をN1にする場合と重なる

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