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ジョブ理論とは?

ジョブ理論とは、顧客は製品やサービスそのものが欲しいのではなく、ある状況で片づけたい用事(ジョブ)を片づけるために、それを「雇う」と考える理論です。 ハーバード・ビジネス・スクールのクレイトン・クリステンセン教授が提唱し、「Jobs to be Done(JTBD)」とも呼ばれます。ジョブには、機能面の目的だけでなく、感情面や、周りからどう見られたいかといった社会面の目的も含まれます。 顧客の属性ではなく、購入のきっかけになった状況と、そのとき達成したかったことに注目するため、競合を同じ業界の製品だけでなく、同じジョブを片づける別の手段まで含めて捉えられます。B2Bでは、発注の担当者や決裁者がどんな状況で、何を解決するために選んだかを、受注の決め手の分析に使います。

ジョブ理論に関する記事・資料

ジョブ理論に関連する記事1件・資料1件。

形式

ジョブ理論が必要になる課題

  • 顧客を業種や企業規模、役職で分けて分析しているが、なぜ自社が選ばれたのか、なぜ失注したのかを説明できない
  • 競合を同業他社だけで見ているため、内製や今のやり方の継続、検討の見送りに案件を取られていることに気づけない
  • 製品の機能や仕様を並べて訴えているが、顧客の検討が進まない

ジョブ理論の構成要素

ジョブ理論では、顧客が製品やサービスを選ぶことを「雇う」、使うのをやめて別の手段に替えることを「解雇する」と表します。顧客が雇った理由をつかむために、ジョブを次の要素に分けて整理します。

要素内容BtoBでの例(産業機械向けの部品を買う企業)
状況ジョブが生まれたときの具体的な事情。いつ、誰が、どんな制約の中にいたか新しい装置の設計が始まり、試作の納期が決まった
進歩その状況で、顧客が実現したい前進試作の段階で部品の手配が遅れず、設計の手戻りを減らしたい
機能面のジョブ実務で達成したいこと図面どおりの部品を、試作の日程に間に合うように入手する
感情面のジョブ本人がどう感じたいか納期遅れで設計部門から責められる不安をなくしたい
社会面のジョブ周りからどう見られたいか上司や関係部門から、手配を任せられる担当者と見られたい
障害新しい手段に切り替えるのを妨げるもの今の仕入れ先との付き合い、新しい取引先を登録する社内の手続き
埋め合わせ行動満足できる手段がないため、顧客が自分で工夫して補っていること複数の仕入れ先に同時に見積もりを頼み、返事が早いほうに発注している

同じジョブを片づけられるものは、すべて競合になります。同業他社の製品だけでなく、社内での内製、今のやり方を続けること、何もしないこと(無消費)も、顧客にとっては選択肢の一つです。

進め方と判定基準

ジョブ理論は、次の手順で使います。

  1. 話を聞く顧客を決める。最近になって自社を採用した顧客や、他社や別の手段から乗り換えた顧客を選ぶ。採用した時期が近いほど、状況を具体的に聞ける
  2. 検討を始めたきっかけまでさかのぼり、時系列で聞く。何が起きて検討を始めたか、ほかに何を比べたか、何が決め手になったか、何をためらったかを聞く
  3. 聞いた内容を、状況、進歩、機能面・感情面・社会面のジョブ、障害、埋め合わせ行動に分けて書き出す
  4. 複数の顧客に共通するジョブをまとめ、「〇〇の状況で、〇〇したい」という1文で表す
  5. そのジョブに対して、自社の製品、訴える内容、購入までの手続きが合っているかを見直す。比べる相手には、同じジョブを片づけるほかの手段も含める

ジョブを正しく捉えられたかは、次の基準で判断します。

基準確かめること
状況が具体的か「コストを下げたい」のような一般的な願いではなく、いつ、どんな事情で生まれたかまで言えるか
手段が入っていないかジョブの文に自社の製品名や機能が入っていないか。手段を替えても成り立つ文になっているか
機能面以外も捉えたか感情面・社会面のジョブまで書き出したか。機能面だけでは、競合と同じ機能を並べる結論になりやすい
行動で裏づけられるか比べた手段、埋め合わせ行動、乗り換えなど、顧客が実際にとった行動で説明できるか

あわせて、次の点を押さえます。

  • BtoBでは、使う部門の担当者、購買部門、決裁者で片づけたいジョブが異なる。誰のジョブかを分けて書く
  • 顧客に「何が欲しいか」を聞いても、ジョブは出てこないことが多い。実際にとった行動と、そのときの状況を聞く

似た用語との違い

用語意味ジョブ理論との違い
ニーズ顧客が必要としていること、欲しいと感じていることニーズは状況を含まずに語られることが多い。ジョブ理論は、どんな状況で何を前進させたいかまで含めて捉える
ペルソナ典型的な顧客像を、一人の人物のように具体的に描いたものペルソナは顧客が誰かを描く。ジョブ理論は顧客が何を片づけたいかを描く。属性が同じ顧客でも、状況が違えばジョブは異なる
N1分析実在する1人の顧客に深く聞き、購入の理由を探る分析方法N1分析は1人に深く聞く分析の方法で、ジョブ理論は購買を捉える考え方。N1のインタビューでジョブを聞き出す形で組み合わせて使われる
KBF(購買決定要因)顧客が製品を選ぶときの決め手KBFは、価格や納期など比べるときの基準を示す。ジョブ理論は、なぜ検討を始め、何を達成したかったかを示す。ジョブがわかると、どのKBFが重視されるかの理由がわかる

関連用語

  • N1分析:実在する1人の顧客に深く聞く分析方法。インタビューでジョブを聞き出すときに使える
  • ペルソナ:典型的な顧客像。属性だけでなく、片づけたいジョブまで書き込むと、施策の判断に使いやすくなる
  • KBF(購買決定要因):顧客が製品を選ぶ決め手。ジョブと合わせて見ると、決め手が重視される理由がわかる
  • インサイト:顧客自身も気づいていない、購入を動かしている本音。感情面・社会面のジョブと重なることが多い
  • バイヤージャーニー:課題に気づいてから購入を決めるまでの道のり。ジョブが生まれた状況を起点に段階を整理できる
  • 失注分析:失注した顧客に理由を聞いて分析すること。顧客が他社、内製、見送りのどれを選んだかを、ジョブの視点で整理できる
  • 「ドリルではなく穴が欲しい」:顧客が求めているのは製品ではなく、製品で得られる結果だという考え方。セオドア・レビットが紹介した言葉として知られ、ジョブ理論の説明でよく引かれる

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