稟議書の書き方と例文|期中の追加予算は「何件増えて、いつ止めるか」で書く
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期の途中で予算が足りなくなり、追加の稟議を書くことになった。そんなとき、何をどう書けば通るのかで迷うことがあります。決裁者が確かめたいのは、期初の計画から何が変わり、追加で何件増え、いつ止められるのかです。
この記事では、期中の追加予算の稟議書に入れる5つの項目と例文、追加額の出し方を解説します。
- 期中の追加予算を、期初計画の変更として書く理由
- 稟議書に入れる5つの項目と、それぞれの例文
- 追加額を件数から逆算し、今期の分と来期の分に分けて示す方法
期中の追加予算の稟議書は、期初計画の変更として書く
期中の追加予算は、新しい投資の提案として書くと通りにくくなります。決裁者は、期初に承認した計画のどこが変わったのかを最初に確かめるからです。
期初の予算は、目標の件数と単価をもとに承認されています。追加の申請を受けた決裁者が最初に考えるのは、「なぜ期初に入れなかったのか」「今の予算の中で回せないのか」の2つです。ここに答えないまま追加の効果を説明しても、話は額の妥当性まで進みません。稟議書は、期初の計画から変わったこと、組み替えの検討、追加分で増える件数、止める条件の順に組み立てます。
もう一つ避けたいのが、「追加しなければ目標に届かない」という書き方です。稟議書で初めて未達の見込みを知らされた決裁者は、追加の効果より先に、計画そのものを疑います。追加の目的も穴埋めに見え、追加分で何件増えるのかがかすんでしまいます。未達の見込みは、月次の報告で先に共有しておくものです。
追加予算の稟議書に入れる5つの項目と例文
期中の追加予算の稟議書には、次の5つを入れます。例文は、下期のWeb広告に90万円を追加する場合のものです。
| 項目 | 書くこと | 例文 |
|---|---|---|
| 1. 要旨 | 額・目的・期限 | 「下期のWeb広告に90万円(人件費を含めて105万円)を追加し、来期の期初までに商談4件を作ります。」 |
| 2. 期初計画から変わったこと | 何が想定と違ったか。なぜ期初に見込めなかったか | 「上期の広告で、商談になりやすい業種が見つかりました。期初の計画には入っていなかった業種です。」 |
| 3. 組み替えの検討 | 今期の予算内で回せないかを検討した結果 | 「展示会の費用を回すことも検討しましたが、秋の展示会は商談の多くを生んでいるため残します。」 |
| 4. 追加分で増える件数と金額 | リード・商談・受注の件数と金額。今期の分と来期の分を分ける | 「リード28件・商談4件を見込みます。受注は来期の第1四半期に入る見込みです。」 |
| 5. 止める条件と報告 | どの数字を下回ったら止めるか。いつ報告するか | 「最初の1か月でリードが10件に届かなければ、残りの執行を止めます。結果は毎月の報告に含めます。」 |
2と3を飛ばして4から書くと、額の話に入る前に「そもそもなぜ」で差し戻されがちです。会社の様式が決まっている場合も、2と3は申請理由の欄に入れておきます。
追加の申請でも、外部に払う費用と社内の工数(人件費)を別の行に書き、合計も示すのが基本です。決裁者が見ているのは会社として出ていく総額だからです。人件費の出し方は会社によって違うので、経理・財務に必ず確認してください。
追加額は件数から逆算し、今期の分と来期の分を分けて示す
追加額は、増やしたい受注の件数から逆算します。あわせて、その受注が今期に入るのか、来期になるのかを分けて示します。
たとえば、受注を1件増やしたい場合です。受注率29%、MQLから商談への率40%、リードからMQLへの率37%なら、必要なリードと費用は次のようになります。
| 段階 | 件数・金額 | 計算 |
|---|---|---|
| 受注 | 1件 | 増やしたい件数 |
| 商談 | 4件 | 1件÷29%=3.4件を切り上げ |
| MQL | 10件 | 4件÷40% |
| リード | 28件 | 10件÷37%=27.0件を切り上げ |
| 外部に払う費用 | 90万円 | 広告の出稿60万円+LPの制作30万円(見積もり) |
| 人件費 | 15万円 | LPの企画・監修と広告の確認にかける30時間分 |
| 費用合計 | 105万円 | |
| 追加分のCPL | 3.8万円 | 105万円÷28件。許容CPL6.3万円以内 |
許容CPLは、受注1件あたりの費用の上限(1社あたりの年間粗利100万円×取り返す年数1.5年=150万円)に、リードから受注までの率をかけた値です。追加分のCPLがこの内側なら、追加した費用は決めた年数で取り返せる計算になります。
参考記事:KPI目標値の決め方|売上目標から商談数・リード数を逆算し、根拠を説明する方法
見落とされやすいのが、追加したリードが受注になる時期です。リードから受注まで4か月かかるなら、期末まで4か月を切ってから取ったリードの受注は来期に入ります。4月始まりの会社では、12月以降の追加は今期の受注にほぼ入りません。
それでも今期の受注が増えるように書くと、期末に「追加したのに受注が増えていない」と問われます。上の例なら、今期に増えるのは費用合計105万円(外部に払う費用90万円+人件費15万円)です。そのうえで、商談4件と、受注単価250万円としてパイプライン創出額1,000万円を、来期の期初に持ち越す形で書きます。こう分けておけば、財務は今期の利益の見通しへの影響を正しくつかめます。
追加の理由が「見込み違い」「機会」「人手不足」のどれかで、書くことを変える
同じ追加の申請でも、理由によって決裁者が疑うことは変わります。稟議書の「2. 期初計画から変わったこと」は、理由に合わせて書き分けます。
| 理由 | 決裁者が疑うこと | 書くこと |
|---|---|---|
| 見込み違い(リード単価の上昇など) | 下期も同じことが起きないか | 原因と、計画の前提をどう直したか |
| 機会(成果の出ている施策を伸ばす) | どこまで伸ばすのか | 上限額と期限。伸ばす根拠になった件数 |
| 人手不足(外注を使いたい) | 人を足せば成果が出るのか | 人が足りずに止まっている仕事と、足した場合に増える件数 |
通りにくいのは人手不足です。人を足す前に、その施策が商談につながる流れになっているかを見られるからです。
実績が弱い施策に追加するときは、詰まった段階と止める条件を先に示す
前期や上期の実績が弱い施策に追加を申請するときは、どの段階で詰まったのかを件数で示します。リードは取れているのに商談にならないのか、そもそもリードが足りないのか。詰まった段階がわかれば、今回の追加でそこの何を変えるのかを書けます。
そのうえで、止める条件を自分から先に出します。期初に撤退ラインを決めていなかった施策ほど、決裁者は「いつまで続くのか」を気にするからです。最初の1か月分だけを先に承認してもらい、結果を見て残りを判断してもらう形にすると、損失の上限がはっきりします。
財務担当と社長に説明するときの一文
追加の稟議では、財務担当は今期の利益への影響を、社長は追加で何が増えていつ止められるのかを聞いてきます。それぞれ、次の一文で答えられるようにしておきます。
- 財務担当に:「追加は外部に払う費用90万円と人件費15万円の合わせて105万円で、今期の費用に入ります。受注は来期の第1四半期になる見込みです。今期の利益の見通しへの影響は、この費用の分だけです。」
- 社長に:「追加の105万円(うち外部に払う費用90万円)で商談を4件作ります。最初の1か月でリードが10件に届かなければ、残りは使わずに止めます。」
まとめ
期中の追加予算の稟議書は、期初計画の変更として、変わったこと・組み替えの検討・増える件数・止める条件の順に書きます。追加額は増やしたい受注の件数から逆算し、受注が今期に入るのか来期になるのかを分けて示してください。未達の見込みは月次の報告で先に伝えておくことが、追加を通す前提になります。
よくある質問
Q1.期中の追加予算は原則認めない、と言われたらどうすればよいですか?
A1.今期の予算内の組み替えで対応できる範囲を示し、足りない分は来期の予算案に回します。期中に組み替えて得た件数や単価は、来期の予算の根拠として使えます。
Q2.今期の予算内で組み替えるだけでも、稟議は必要ですか?
A2.会社の決裁ルールによるので、費目や金額が変わる組み替えは経理・財務に確認してください。稟議が要らない場合も、何を止めて何に回したかは月次の報告で伝えておきます。
Q3.会社の稟議書の様式が決まっている場合は、どう書けばよいですか?
A3.様式に従い、5つの項目を既存の欄に振り分けます。要旨は件名と冒頭、期初計画から変わったことと組み替えの検討は申請理由、増える件数と止める条件は効果の欄に入れると収まります。
Q4.外注を増やす追加では、社内の工数をどう書けばよいですか?
A4.外部に払う費用と社内の工数を別の行に書き、合計も示します。外注で社内の工数が減るなら、その分も書いておきます。工数の金額への換算は会社によって違うので、経理・財務に確認してください。
