マーケティング研修か、社内OJTか|中小企業のマーケター育成で、無料セミナーと有料研修を使い分ける
coconecoLead Manager公開日: / 更新日:
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メンバーを育てたいものの、外部のマーケティング研修を受けさせるか、社内で教えるかで迷うことがあります。研修費をかけても、学んだ内容を日々の業務で使えなければ、育成にはつながりません。
この記事では、外部研修と社内OJTの分け方と、マーケター育成で何をどの順番で学ばせるかを解説します。
- 無料セミナー・有料の研修・社内OJTを、どんな場面で使い分けるか
- 任せる業務の段階ごとに、学ばせる内容と学ぶ場
- セミナーで学んだことを、業務で使える形にする進め方
育成計画の全体の立て方は、マーケティング人材育成は『任せる順番』から|経験者が自分1人のチームで、1年で実務を手放す計画 で解説しています。
結論:知識は外で学ばせ、判断の基準は社内で教える
中小企業のマーケター育成は、社内でのOJTを中心にします。業務のやり方や、何を優先するかの判断基準は、自社の商材と顧客に合わせて社内で決めるものです。外部の研修では、そこまでは教えられません。
外部で学ばせるのは、社内に教えられる人がいない「知識」です。予算が限られる中小企業では、担当業務に関する無料セミナーを中心にし、基本が抜けている分野だけ有料の研修を使います。
厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査」では、能力開発や人材育成に問題があると答えた事業所が79.9%ありました。問題の内容で多いのは、「指導する人材が不足している」(59.5%)と「人材育成を行う時間がない」(47.4%)です。研修などOFF-JTに費用を出した企業でも、労働者1人当たりの平均額は1.5万円にとどまります。
教える人も時間も予算も足りない前提で、外部の知識をどう取り込むかを決めておくことが、育成計画の中心になります。
無料セミナー・有料の研修・社内OJTの使い分け
学ぶ場は、次のように使い分けます。
| 学ぶ場 | 使う場面 | 学ばせること | 使い方 |
|---|---|---|---|
| 無料セミナー(中心) | 担当業務が決まり、やり方を早く覚えさせたいとき | その業務の具体的なやり方 | テーマと期間を決め、同じテーマのセミナーを続けて受けさせる |
| 有料の研修・講座 | 担当や肩書はあるが、「なぜそうするのか」の基本が抜けているとき | 分野の基本となる考え方 | 対象の分野と人を絞り、年に数回までにする |
| 社内OJT(常に) | すべての段階 | 業務の背景・目的と、自社での判断の基準 | 背景と判断の基準は責任者が伝え、例外への対応はメンバーと話し合って決める |
無料セミナー:目の前の業務から、期間を決めて受けさせる
まずは、目の前の業務に関するところから学ばせるのが基本です。たとえば、メルマガの配信担当なら「メールから商談を生む方法」のようなテーマの無料セミナーが多く開かれています。3か月など期間を決めて同じテーマのセミナーを続けて受けさせると、どの講師も共通して話すやり方と、講師ごとの違いが見えてきます。
なお、無料セミナーの多くは、ツールの提供会社や支援会社が自社のサービスを知ってもらうために開くものです。サービスの紹介の部分は差し引いて聞くよう、メンバーに伝えておきます。
有料の研修:基本が抜けているときに、分野を絞って使う
担当や肩書だけが先にあり、仕事の基本を知らないまま進めている場合は、有料の研修が役に立ちます。
有料の研修は、その分野で実績のある会社や、名の知れた実務家の講座から探すのが近道です。そのうえで、講座の中身が自社のメンバーに合うかは、申し込む前に次の点で確かめます。
- カリキュラムに、自社の業務と同じ場面が含まれているか
- 受講対象(職種や経験の長さ)が、学ばせるメンバーに合っているか
- 受講後に試す業務を、社内で用意できるか
育成計画で学ばせる順番
育成計画には、任せる業務の順番に合わせて、学ばせる内容と学ぶ場を書きます。任せる順番の決め方は、マーケティング人材育成は『任せる順番』から|経験者が自分1人のチームで、1年で実務を手放す計画 を参照してください。
| 段階 | 任せる業務の例 | 学ばせること | 学ぶ場 |
|---|---|---|---|
| 1. 手順が決まっている業務(1〜3か月) | 広告の入稿、レポートの更新、メール配信 | その業務の具体的なやり方 | 無料セミナー+社内OJT |
| 2. 例外の判断を含む業務(3〜6か月) | 問い合わせの振り分け、展示会の運営 | 業務の背景・目的と、自社での判断の基準 | 社内OJT(基本が抜けていれば有料の研修も) |
| 3. 社外との調整や費用を伴う業務(6〜12か月) | 代理店・制作会社とのやりとり、施策の効果の報告 | 数字や顧客の反応を根拠に説明する力 | 外部で分析などの知識を学び、社内で自社の数字に当てはめる |
段階3で求めるのは、「私はこれがいいと思う」ではなく、数字や顧客の反応を根拠に説明できることです。これは、マーケターのスキルマップの作り方|「何ができれば一人前か」を職歴や資格ではなく行動で決める で「一人前」とした条件と同じです。セミナーや研修は、この条件に近づくための材料として位置づけます。
よくある失敗:学んだやり方を、そのまま使おうとする
セミナーや研修のあとによく起きるのが、習ったやり方をそのまま自社に当てはめようとする失敗です。講師が話す事例は、講師が関わった会社の商材や顧客が前提になっています。自社で同じようにやっても、うまくいかないことがあります。
無料セミナーを期間を決めて受ける場合、1回ごとに試す業務を決めるのは現実的ではありません。そこで、受けている間は気になったことをメモに残すだけにします。期間の終わりに、複数の講師が共通して話していたやり方を選び、自社に合わせて変えてから試します。
| 項目 | 決めること | 記入例(架空の例) |
|---|---|---|
| テーマと期間 | 何について、いつまで受けるか | 「メールから商談を生む」をテーマに、3か月 |
| 受けている間 | セミナーごとに残すこと | 試したいことを1行だけメモする |
| 期間の終わり | メモから、何を選ぶか | 複数の講師が共通して話していたやり方を、1〜3個選ぶ |
| 自社に合わせて変える点 | そのまま使わず、何を変えるか | 送る間隔は、自社の商談の長さに合わせて2か月にする |
| 確かめる数字 | 何が変われば成果とみなすか | メールからの問い合わせ件数 |
| 振り返り | 誰と、いつ話すか | 試した翌月、責任者と30分 |
| 社内のやり方にするか | 結果を見て、続けるかを決める | 問い合わせが増えたら、配信の手順書に加える |
費用も時間もかかる有料の研修だけは、申し込む時点で、受講後に試す業務と確かめる数字まで決めておきます。
セミナーや研修で得た知識は、自社のやり方を決めるための材料です。業務の目的や判断の基準は責任者が伝え、試した結果を見ながら、自社のやり方はメンバーと一緒に決めていきます。
外部のセミナーや研修を使う前に決めておくこと
外部で学ばせる前に、次のことを社内で決めておきます。決めないまま進めると、セミナーは受けっぱなしになり、有料の研修は研修会社のおすすめのプログラムをそのまま受けることになりやすいためです。
- 誰に、どの業務のために学ばせるか
- 無料セミナーで足りるか、有料の研修が必要か
- 無料セミナーならテーマと期間、有料の研修なら予算と受講後に試す業務
- 何が変われば成果とみなすか(スキルマップのどの項目か、どの数字か)
- 誰と、いつ振り返るか
人事などに説明するときの一文
育成の方針や研修の予算について、人事や上長に説明するときに使えます。
- 「マーケの育成は社内OJTが中心です。外部のセミナーや研修は、社内に教えられる人がいない知識を補うために使います。」
- 「まずは担当業務に関する無料セミナーを期間を決めて受けさせ、基本が抜けている分野だけ有料の研修を使います。有料の研修は、受講後に試す業務と確かめる数字を決めたものに絞ります。」
まとめ
- 中小企業のマーケター育成は、社内OJTを中心にします。外部で学ばせるのは、社内に教えられる人がいない知識です。
- 担当業務が決まった直後は、その業務に関する無料セミナーを、テーマと期間を決めて続けて受けさせます。基本が抜けている場合だけ、有料の研修を使います。
- 育成計画には、任せる業務の順番に合わせて、学ばせる内容と学ぶ場を書きます。
- 学んだやり方はそのまま使わず、期間の終わりに共通するやり方を選び、自社に合わせて変えてから試します。
- 学ぶこと自体を評価に入れ、根拠を示して提案できる一人前まで育てます。
よくある質問
Q1.有料のマーケティング研修は、どんなメンバーに受けさせるべきですか?
A1.担当や肩書はあるのに、仕事の基本となる考え方が抜けているメンバーです。この場合、社内で断片的に教えるより、有料の研修で体系的に学ばせたほうが早く身につきます。担当業務のやり方を覚える段階なら、無料セミナーでも十分学べます。
Q2.ツール会社の無料セミナーは、育成に役立ちますか?
A2.担当業務の具体的なやり方を知るには役立ちます。サービスの紹介の部分は差し引いて聞き、翌月の業務で試せる手順を持ち帰れるかで選んでください。1回で終わらせず、期間を決めて同じテーマのセミナーを続けて受けると、共通するやり方が見えてきます。
Q3.OJTだけでマーケターを育てられますか?
A3.業務の判断基準や自社でのやり方は、OJTで教えるのが基本です。ただし、データ分析など社内に教えられる人がいない分野は、外部で知識を学ばせる必要があります。そのうえで、学んだ内容を自社の数字に当てはめる振り返りを社内で行います。
Q4.セミナーや研修の効果は、どう確かめればよいですか?
A4.学んだことを業務で試した結果と、スキルマップの該当する項目で確かめます。受講した本数や、受講後のアンケートの評価だけでは、業務で使えるようになったかは分かりません。面談のたびに、最近学んで業務で試したことを聞いてください。
