マーケ月次報告の作り方|数字の読み上げを卒業し翌月の打ち手を決める5ステップ
coconecoLead Manager公開日: / 更新日:
目次
毎月のマーケの報告が、PVやリードの数を読み上げるだけで終わっていませんか。報告を聞く人が次に知りたいのは、「で、来月は何をするのか」のほうです。月次報告は、翌月の打ち手を決めるための1枚です。
この記事では、KPIの予実からボトルネックを1か所見つけ、メインの打ち手を1つ決めるところまでを、記入例つきで紹介します。
- 翌月の打ち手が決まる月次報告の完成形(1枚の中身と記入例)
- 月次報告を作る5ステップ
- 月次報告でつまずきやすい点
月次報告は、KPIの予実から翌月の打ち手を決める1枚にする
マーケの月次報告は、KPIの予実からボトルネックを1か所見つけ、翌月の打ち手を決める1枚にまとめます。
月次報告でよくあるのが、専門用語を交えて、PVや直帰率を中心に報告する形です。社内でもよく知られた数字なので報告しやすい反面、売上にはつながっていません。聞く側にとっては、参考情報で終わりがちです。報告を打ち手につなげるには、売上に近いKPIを上に置き、そこから下へたどれる数字だけを並べる必要があります。私自身も、以前はPVや直帰率を中心に報告していましたが、売上につながっていない数字なので、参考情報で終わっていたんだと思います。
完成形は、たとえば次のようになります。上から順に並べた欄が、報告の構成です。数値は説明用の架空のものです。4月始まり・従業員100名の部品メーカーが、マーケを始めて3年目の12月に作る月次報告を想定しています。
| 欄 | 記入例(12月) |
|---|---|
| この報告で決めること | 翌月(1月)の打ち手を1つ |
| 先月の打ち手の結果 | 先月決めた打ち手の「確かめる数字」が届いたか(Step5) |
| KPI(目標→実績) | マーケ経由の商談 7件→5件(71%・届かない) |
| PIの予実 | リード 20件→22件(110%)、MQL 10件→10件(100%)、MQLへの2営業日以内の連絡率 100%→70%(届かない)ほか |
| ボトルネック(1か所) | MQLへの連絡。12月のMQLの3割が2営業日以内に連絡されず、10月の展示会のMQLにも未連絡が4件残っている |
| 翌月の打ち手(メイン) | 10月の展示会のMQLで未連絡の4件に連絡し、MQLへの連絡の期限(2営業日)を営業と見直す |
| 控えの打ち手 | メインで商談が増えないときに切り替える打ち手(Step4) |
「マーケ経由」は、最初の接点が展示会・Web広告・自社サイト・メール・セミナー(ウェビナーを含む)だった商談を指します。
この表は、上から下へ読みます。KPIの商談が届いていない。その手前のリードとMQLは足りている。だからボトルネックは、MQLを営業に渡したあとの連絡にある。この「だから」が1枚の中でつながっていれば、翌月の打ち手は自然に1つに絞れます。
マーケティングの月次報告を作る5ステップ
月次報告は、次の5つのステップで作ります。1か月目はStep1〜4です。2か月目からはStep5の答え合わせが加わり、完成形の2つめの欄「先月の打ち手の結果」に入ります。
Step1:この報告で決めることを書き、KPIを1つ置く
報告のいちばん上には、「この報告で決めること:翌月の打ち手を1つ」と書きます。最初の行で目的を決めておくと、打ち手を決めるのに使わない数字は載せる理由がなくなります。
次に、KPIを1つ置きます。KPIは、売上に近い数字から選びます。
判断の分かれ目は、マーケ経由の受注が月に何件あるかです。
- 毎月、複数件の受注がある会社:受注件数や受注金額をKPIにできる
- 受注が月に0〜数件の会社:受注の手前の、マーケ経由の商談をKPIにする
記入例の会社は、マーケ経由の受注が月に0〜2件しかありません。受注をKPIにすると、1件の差で毎月の判定が大きく揺れます。そのため、商談をKPIにしています。
Step2:PIの予実を並べ、期初に決めた線で判定する
2つめの欄には、KPIを動かすPIの目標と実績を並べます。並べるのは、KPIとつながっている数字です。SNSのフォロワー数のように、KPIとのつながりを説明できない数字は、打ち手を決めるのに使わないので載せません。
PIの目標は、期初にKPIから逆算して月ごとに置いておきます。判定は、期初に決めた線で付けます。例では、100%以上を達成、90〜99%をやや届かない、90%未満を届かないとしています。
逆算の仕方は、KPI目標値の決め方|売上目標から商談数・リード数を逆算し、根拠を説明する方法 で解説しています。
| PI | 目標 | 実績 | 達成率 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| リード | 20件 | 22件 | 110% | 達成 |
| MQL | 10件 | 10件 | 100% | 達成 |
| MQLへの2営業日以内の連絡率 | 100% | 70% | 70% | 届かない |
| Web広告のクリック | 640回 | 610回 | 95% | やや届かない |
| 自社サイトの資料DL+問い合わせ | 5件 | 6件 | 120% | 達成 |
| メールの開封率 | 25% | 23% | 92% | やや届かない |
| ウェビナーの申し込み | 9件 | 10件 | 111% | 達成 |
上の3行が、KPIに直接つながるPIです。下の4行は、リードを動かす現場の数字にあたります。線を先に決めておくと、「95%なら、まあいいか」のような報告する側の手心が入りません。
件数が少ない数字は、期初からの累計も横に並べます。この例の商談は、12月は目標7件に対して実績5件で71%です。4〜12月の累計では目標35件に対して実績33件で、94%になります。1か月の数字で慌てるのを避けるために、累計で傾向を確かめます。
この欄の数字集めには、毎月時間がかかります。KPIやPIを、あちこちのツールから拾わなくてはならないからです。すべてを自動で集めるのは難しく、とくにMAからの自動収集はつまずきやすいところです。手で集める前提なら、次の2つを決めておくと、毎月の作業が「写すだけ」に近づきます。
Step3:KPIから下へたどり、ボトルネックを1か所に絞る
KPIが届いていなければ、KPIから下へ数字をたどり、届いていないPIを1つ選びます。届いていないPIが複数あるときは、KPIに近いほうを選びます。KPIが達成している月は、今の打ち手を続けます。
記入例では、KPIの商談が71%で届いていません。その手前のMQLは、12月は10件で目標どおり、4〜12月の累計でも目標88件に対して94件です。商談の元は足りているのに、商談が増えていないことになります。届いていないのは、MQLへの2営業日以内の連絡率(70%)でした。12月のMQL10件のうち、2営業日以内に連絡できたのは7件です。さらに、10月の展示会のMQLにも、12月末でまだ連絡していないものが4件ありました。ボトルネックは「MQLを営業に渡したあとの連絡」の1か所と決まります。
Web広告のクリックやメールの開封率も「やや届かない」ですが、リードとMQLは足りているので、今月のボトルネックにはしません。
ボトルネックが営業側にあるとき、マーケの月次報告に「営業が連絡していません」とだけ書くと、営業との関係がこじれかねません。報告の前に、営業に状況を聞いておくのが確実です。
報告までに営業に聞く時間が取れないこともあります。そのときは、まずボトルネックの箇所をはっきりさせます。そのうえで、「この数字が悪いときに考えられるのは、架電の遅れ」のように、数字から考えられる原因を書きます。大事なのは、数字を客観的に見て、原因の候補を挙げられることです。
One Marketingが2024年11月にBtoBの営業とマーケ500名に行った調査では、マーケが獲得したリードが「明らかに放置されている」という回答が25.2%ありました。受け渡しのあとの数字(連絡率など)をPIに入れておくと、このボトルネックを月次報告で見つけられます。
出典:One Marketing「営業とマーケティングの連携実態調査」(n=500、2024年11月14日〜17日実施)
なお、マーケを始めたばかりの導入期は、どこがボトルネックなのかわからないことも多くあります。私なら、この時期はボトルネックを1か所に絞ることにこだわらず、実施している施策のプロセスごとに、すぐできる改善を進めます。
Step4:メインの打ち手を1つ決め、控えの打ち手を用意する
ボトルネックが決まったら、翌月の打ち手を決めます。メインの打ち手は1つです。複数を同時に始めると、翌月に数字が動いても、どれが効いたのかわかりません。
打ち手は、次の4つを書いて初めて決まったことにします。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 何を | 10月の展示会のMQLで未連絡の4件に連絡し、MQLへの連絡の期限(2営業日)を営業と見直す |
| 誰が | マーケ責任者と営業の責任者 |
| いつまでに | 1月の第1週 |
| 確かめる数字 | 1月の2営業日以内の連絡率100%、1月の商談3件 |
未連絡の4件への連絡は、すぐ終わる作業です。期限の見直しが効いたかどうかは、1月に生まれるMQLの連絡率で確かめます。確かめる数字が空欄だと、翌月の報告は「やりました」で終わってしまいます。
1月の商談の目標が3件と12月より少ないのは、月ごとの目標が違うためです。この会社では、10月の展示会から生まれる商談が11〜12月に集中するように目標を置いています。
メインの打ち手を1つ選んだら、控えの打ち手も複数準備しておきます。メインの打ち手が効かなかったときに、別の打ち手をすぐ実施できるようにするためです。記入例なら、次のような形になります。
- 控え1:連絡しても商談にならないときは、MQLの条件を営業と見直す
- 控え2:Web広告のクリックやメールの開封率が1月も届かないときは、広告文やメールの件名を見直す
関係者には、「月の前半はメインの打ち手に集中し、後半から控えの打ち手も含めていく」という段取りを見せておきます。実際は数字を見ながら実施するので、この順番どおりに進むとは限りません。
Step5:翌月の報告の最初で、先月の打ち手を答え合わせする
2か月目からは、「この報告で決めること」のすぐ下に、先月決めた打ち手の結果を書きます。見るのは、Step4で決めた「確かめる数字」です。
| 確かめる数字 | 目標 | 1月の実績 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 2営業日以内の連絡率 | 100% | 100% | 達成 |
| マーケ経由の商談 | 3件 | 4件 | 達成 |
答え合わせの結果で、翌月の打ち手が変わります。
- 確かめる数字が届いた:打ち手を続け、KPIからもう一度ボトルネックを探す(Step3に戻る)
- 届かなかった:控えの打ち手に切り替えるか、ボトルネックの見立てを見直す
記入例では、連絡率も商談も届いたので、連絡の期限を守る運用を続けます。そのうえでKPIから下へたどり直し、次のボトルネックを探します。
答え合わせを最初に置くのは、決めた打ち手を決めっぱなしにしないためです。毎月の答え合わせがたまると、どの打ち手がどの数字を動かしたかの記録になります。この12か月分の記録は、期末に1年の成果をまとめるときの材料にもなります。
マーケティングの月次報告でつまずきやすい点
月次報告でつまずきやすいのは、載せる数字、打ち手の数、数字の読み方、営業側のボトルネックの書き方、数字集めの5つです。作り始める前に、次の表で確かめておきましょう。
| つまずき | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| よく知られた数字(PV・直帰率など)から報告する | 参考情報で終わり、翌月に何を変えるかが決まらない | 売上に近い数字をKPIにし、PVなどはKPIとつながるときだけ載せる |
| 打ち手を並べるだけで、メインを決めない | 翌月、どれが効いたのかわからない | メインを1つ決め、控えは切り替える条件と一緒に書く |
| 1か月の数字だけで判断する | たまたま良い月・悪い月の数字で打ち手を変えてしまう | 件数が少ない数字は、期初からの累計も並べて見る |
| ボトルネックが営業側にあると、書けずに濁す | 本当のボトルネックが残り続ける | 事前に営業に状況を聞く。間に合わなければ、数字から考えられる原因を書く |
| 毎月、数字を1から集め直す | 報告づくりに時間を取られ、打ち手を考える時間がなくなる | 数字の出どころと写す先を固定し、PIの行を絞る |
表のうち、自社の報告で当てはまる行から直していくのがおすすめです。
営業の責任者に説明するときの一文
ボトルネックが営業への受け渡しにあるときは、打ち手に営業の協力が必要です。報告の前に営業に状況を聞いたうえで、たとえば次のように伝えます。
- 「12月はリードもMQLも目標に届いていますが、商談は目標7件に対して5件でした。12月のMQLの3割が2営業日以内に連絡できておらず、10月の展示会のMQLにも未連絡が4件あります。1月の第1週に、未連絡の4件への連絡と、連絡の期限の見直しを一緒にさせてください。」
- 「1月は前半にこの打ち手に集中し、商談が増えなければ、後半からMQLの条件の見直しも始めたいと考えています。」
まとめ
- 月次報告は、KPIの予実からボトルネックを1か所見つけ、翌月の打ち手を決める1枚にする。最初の行は「この報告で決めること」。
- KPIは売上に近い数字を1つ。受注が月に数件なら、マーケ経由の商談を置く。
- PIの予実は、期初に決めた線で判定。件数が少ない数字は累計も並べる。
- ボトルネックが営業側にあるときは、事前に営業に聞くか、数字から考えられる原因を書く。
- 打ち手はメインを1つ決め、控えも用意する。何を・誰が・いつまでに・確かめる数字の4つを書く。
- 翌月の報告の最初で、確かめる数字を答え合わせする。
よくある質問
Q1. PVやセッション数は、月次報告に載せないほうがよいですか
A1. KPIとつながっているなら、PIの1行として載せてかまいません。たとえば自社サイトの資料DLを増やすことが打ち手なら、セッション数はその手前の数字になります。KPIとのつながりを説明できない数字は、報告からは外し、現場の運用で見ます。
Q2. 経営陣への月次報告も、同じ1枚でよいですか
A2. 経営陣には、別の画面を用意します。経営陣が見るのは、今期の受注の着地予測(このままいくと今期がいくらで終わるか)など、受注とお金に近い数字です。この1枚から持っていくなら、KPIの累計の予実と、ボトルネックと翌月の打ち手の一文です。
Q3. 打ち手を実施したのに、確かめる数字が届かなかったときはどうしますか
A3. 用意しておいた控えの打ち手に切り替えます。控えでも動かないときは、ボトルネックの見立てが違っていた可能性があるので、KPIから下へたどり直します。打ち手を実施したかどうかと、数字が動いたかどうかは、分けて書いておきます。
Q4. 週次の報告とは、何を分ければよいですか
A4. 週次では、打ち手が予定どおり進んでいるか(連絡の漏れ、配信の予定など)を確かめます。打ち手を決めたり切り替えたりするのは、月次の報告です。週ごとの件数は少なくぶれやすいので、判断は月次と累計で行います。
